君だけとトベない~CA達の内緒な休息~



「じゃあこちらになりますので」



案内されたのは一番端の、少し寂しい雰囲気を感じる部屋。



どんな顔をして入ろうか一瞬迷って……でもまぁ自然な方がいいだろう。



-ガチャ-



「よっ」



できるだけ明るく、部屋に入ると……どうやら詩織は寝ているらしい。



体から出ているたくさんのチューブが事故の大きさを物語る。



静かな寝息が聞こえる中、そこにあった椅子に腰掛けた。



首から上しか見えないけれど、その顔は俺の知っている詩織のままで、管を除けはぱっと見ただけではとても病人には見えない。



顔に傷が無かったのは不幸中の幸いだろう。時間さえ経てばまた仕事も出来るだろうに。



そんな事を考えていると……詩織の瞳がうっすらと開いた。



< 87 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop