君だけとトベない~CA達の内緒な休息~
「じゃあこちらになりますので」
案内されたのは一番端の、少し寂しい雰囲気を感じる部屋。
どんな顔をして入ろうか一瞬迷って……でもまぁ自然な方がいいだろう。
-ガチャ-
「よっ」
できるだけ明るく、部屋に入ると……どうやら詩織は寝ているらしい。
体から出ているたくさんのチューブが事故の大きさを物語る。
静かな寝息が聞こえる中、そこにあった椅子に腰掛けた。
首から上しか見えないけれど、その顔は俺の知っている詩織のままで、管を除けはぱっと見ただけではとても病人には見えない。
顔に傷が無かったのは不幸中の幸いだろう。時間さえ経てばまた仕事も出来るだろうに。
そんな事を考えていると……詩織の瞳がうっすらと開いた。