君だけとトベない~CA達の内緒な休息~
一旦その視線から逃れるように、買って来て助かったなと思いながら手に持っていた小さな花束を差し出すと
「大丈夫か?」
こういう時、どういう風に声をかけたらいいのかはマナー講師も教えてくれなかったなぁと苦笑して
そんな俺の花束を受け取ろうと、俺に近い方の左腕を伸ばした詩織のそこには……細い腕に何度も刺されたんであろうすっかり青くなった注射の跡。
「わざわざありがとうございます。だけど……私に構わないで下さい」
他人行儀な、明らかに歓迎していない社交辞令なその言葉。
少しだけ心を開いてくれた……と、勝手にそう思っていた。
けれど
再び訪れたそんな変化で俺は……自分の気持ちに気付いてしまう。