君だけとトベない~CA達の内緒な休息~
誰だ?
本能が拒否を示すよりも先に、俺の手は既に扉を開こうとしてしまっていて……それを止められる筈も無く。
放たれた扉の向こうに立っていたのは……どこか見覚えのあるスーツ姿の男。
そして、ベッドに座ったまま目をそらすように外を見つめている詩織。
その姿はまるで、自分とは関係ないと言わんばかりに……。
数秒の沈黙の後
「君は……確か、東君だっけ?」
冷たく言い放つ男の顔をまじまじと見つめてみても……ダメだ。一向に思い出せねぇ。
どうして俺の名前を知ってるんだ?
親しくしていた悪友の顔とは、当てはまらないだろ?って事は……。