いつかはまともな恋が出来るのかもしれない
窮屈な満員電車に揺られ、職場ーー病院ーーに着いた。割と都会にある中規模の急性期病院。
田舎で育った私は、都会に憧れてここを選んだが、今となってはそれもどうでもいいし、もっと他に大事な要素があっただろうと思う。しかし、世の若者が考えることは似ているようで、弊社は20歳代が多い。
重い足を引き摺り更衣室に向かう。
「おはようございます」
溌剌とした高い声が聞こえ、振り返ると茶髪に染めた髪に可愛らしい格好をした女の子の姿。大体20代前半ぐらいだろうか。生き生きしている姿が眩しくも羨ましくもある。
自分にもあんな時期があったんだろうが。