12月24日の天使
すると、先生も真剣な表情になり、愛と恋に話す。

「二人の言うとおり、桐谷さんのことよ。
実は、今日朝早くに職員室に来たかと思うと、欠席すると言ってどこかへ行ってしまったの。
もちろん、私が了解したから欠席するのはいいんだけど……『だけど?』

先生が話しづらそうにしていると、二人は早く話すように促す。

「家にね、帰ってないらしいの。」

『先生電話したの』

先生はすぐに首を横に振り否定する。

「まさか……
私は他の先生よりはいちおう桐谷さんの家庭を理解してるつもりだからそんなことはしない。」

「じゃぁなんでっ?!」

――コトッ

愛はお盆を机の上に置く。
お盆の上には、コーヒーの入ったカップが二個とココアが入ったカップ一個、それからミルクと砂糖が一つずつ入っていた。

「恋、あんまり叫ばないで。
誰かに聞かれるわよ?
あと、どうしていつまでも立って話してるの?
はい、先生。
コーヒーどうぞ。」

先生は少し躊躇いつつも、ソファに座る。
恋は、愛に笑顔で

「座って。」

と言われ座ったが、愛の笑顔は“座れ”と強制的だった。
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