2月からの手紙
「ごめん菜々美、バランス的に野崎さんこっちだと思うんだ」
「そうだよ、菜々美が絶対こっちだって」
「えー、もうしょうがないなぁ」
菜々美は私が断った瞬間にすごい顔で睨んできたけど、すぐに切り替えてニコニコで向こうの班に加わった。
私は心の中で菜々美にごめんと呟きながら、野崎さんに向かっておいでおいでと手招きをした。
濃グレーのカーディガンが席を立ち、こちらに向かってくる。
「ありがとう」
「ううん。学園祭、一緒に楽しもうね!」
野崎さんがこくりと頷いて、耳の下でまっすぐに切りそろえられた黒髪がさらりと揺れた。