2月からの手紙

え……っ!

次の瞬間、私はほのかに甘いパンケーキの香りに抱きしめられて、唇にはあり得ない感触が。


眠気も醒めるほどに柔らかくて熱い……。


何が起きているのか、現象に思考が追い付かない。


「はぁ? はあぁ? って、店に迷惑っつったその口で何やってんだよ! 離せこの野郎! 俺んだぞ!」


OBさんがすごい勢いで怒鳴ってるけど、そんなの全然頭に入ってこない。


「つーか、別に店とか以前にコイツ俺んだから。じゃそういうことで、回収して帰りますねぇ」

「あ!? ちょっ、おい待てよ! ちっ!」


唇を離したスタッフさんが、私を軽々と抱き上げてズンズンと歩いていく。

お姫様抱っこだ。


その振動が心地よくって、また眠気が戻ってきた。
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