2月からの手紙

「後藤さん、どうしたの?」

「ああ、ちょっと汗かいちゃって」

「……? ああ、教室ちょっと盛り上がって暑かったかもね」


濃グレーのカーディガンの上に制服のジャケットを羽織った野崎さんが、不思議そうな顔で言った。


汗、は無理があったかも……。

と思いつつも引っ込みがつかないので着ていたミント色のカーディガンをいそいそと脱いでごまかした。

普通に寒い……。


「もしかして、私と青居さんとで揉めた? だったらごめんね」

「いやいやいや! 違うから! 大丈夫だよ全然!」


野崎さん、おっとりしていそうで、実は意外と鋭い……。
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