2月からの手紙
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教室に着く少し手前で、ぼふ、っと、頭の上に大きな手が被さった。


小鳥遊くんだ。

こんなことをするのは、彼しかいない。


次の授業が始まるから、彼女のところから戻ってきたんだ。


「なに、いきなり」


私は小鳥遊くんのことでいろんな感情が入り乱れていることを気取られたくなくて、できるだけ低いテンションで反応した。


「なあお前、どうして青居のこと断ったんだ? 仲いいだろ」

「え、ああ、そのこと? うーん。菜々美は向こうの班も仲いい子ばっかだし、野崎さんが行ったらノリ違いすぎだろうしって思って」


普段は質問なんてめったにしてこないのに、どうしたんだろう。


しかも小鳥遊くんだって、菜々美が入らない方が都合良さそうなこと言っていたのに。


変なことを聞くんだなと思いつつ、私は思ったままのことを話した。

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