2月からの手紙
私たちはひととおり展示を見終わって、園芸部を後にした。
「次、どこ行く?」
私が訊くと、園芸部員から貰ったプリント資料を胸に抱いたココロが、ふんわりと微笑み呟いた。
「私、部活まだ決めてなくてね」
「そうなんだ。ここ入るの?」
「科学部と少し迷ってるんだけど、あっちはコンピューターとか機械がメインだし、大学は薬学か農学、園芸行きたいから、だったらココかなって」
「園芸って花壇でお花育てるみたいなイメージだったけど、毒の化学式とかって理系だね」
「うん、ガチで理系。宇宙ステーションでいろいろ栽培するとかもこっち」
「うわ! 本当にガチじゃん」
確かに、宇宙で植物を栽培するのは、人類最大級の必修課題だ。
園芸部、すごいな。
「じゃ次は科学部?」
「いいかな? なんか私ばっかり」
「いいって! 行こ行こ」
私に気を使うココロの腕を引いて、行き交う人波を足早に進んだ。