2月からの手紙

私たちはひととおり展示を見終わって、園芸部を後にした。


「次、どこ行く?」


私が訊くと、園芸部員から貰ったプリント資料を胸に抱いたココロが、ふんわりと微笑み呟いた。


「私、部活まだ決めてなくてね」

「そうなんだ。ここ入るの?」

「科学部と少し迷ってるんだけど、あっちはコンピューターとか機械がメインだし、大学は薬学か農学、園芸行きたいから、だったらココかなって」

「園芸って花壇でお花育てるみたいなイメージだったけど、毒の化学式とかって理系だね」

「うん、ガチで理系。宇宙ステーションでいろいろ栽培するとかもこっち」

「うわ! 本当にガチじゃん」


確かに、宇宙で植物を栽培するのは、人類最大級の必修課題だ。

園芸部、すごいな。


「じゃ次は科学部?」

「いいかな? なんか私ばっかり」

「いいって! 行こ行こ」


私に気を使うココロの腕を引いて、行き交う人波を足早に進んだ。
< 171 / 194 >

この作品をシェア

pagetop