2月からの手紙
小鳥遊くんが何気なく手に取ったヘアクリップに、5800円という値札がついていた。
ドット柄の大きなリボンがついていて、かなり盛れる感じのデザイン。
女子力の塊みたいなアイテムだと思った。
それにしても、ヘアクリップなんて100均でも売ってるし、こういうところのものでもせいぜいその半分くらいだと思っていたのに。
小鳥遊くんも気まずそうな顔をしている。
「ちなみにご予算は?」
「千円くらいのつもりだったんだけど、二千円くらいまでならなんとか」
「じゃあ……このへんなら」
そう言って私はさっきのより小さめのクリップを取って、札を裏返した。
「ギリだな。よし、これにする」
「うん、すごく可愛いよ。さっきのはほら、ちょっと大きすぎると思ったんだよね。きっと喜ぶと思うよ!」
「だといいな」