2月からの手紙

話題も豊富じゃない私は、会話に混ざるわけでもなく、ひたすら食べて、飲むをくりかえすだけだった。

つまんない。
早く帰りたい。
素敵な店内も見ることができたし、もういいや。

貰ったアップルジュースを喉に流し込む。

手持無沙汰と口寂しさを紛らわすように握りしめたグラスは、あっという間に氷だけになった。


ストローでカラカラと氷を掻きまわしながら視線を泳がすと、お店のスタッフさんがデザートを運んでくるのが見えた。


女子向けなだけあって、従業員は絶対に顔で選んでいると思う。
みんな恰好いい。

中でもこの人……一番じゃないかな。

背が高くて、細いのに白いワイシャツの肩はがっちりしてて。

きりりとした眉、凛とした大きな二重の瞳に、すっと通った鼻筋と爽やかに笑う紅い唇。

髪を固めておでこを出したオールバックスタイルが、非日常感あって見惚れてしまう。

全員このヘアスタイルなのは、ここのルールなのかな。


いけない。
合コンなのに、スタッフさんに見とれてしまうなんて。
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