2月からの手紙

時計を見て私は慌てた。

もうすぐ5時半になろうとしている。


夏は夕方の時間感覚がつかみにくい。

空が全然赤くならないから。

6時を過ぎてもまだまだ明るくて、7時頃になって薄青い夜の色がうっすらつき始めるまで、まるで昼間のまま。


急いで道具を鏡の前に広げて、学校仕様のメーク。

本当はもっとデートっぽくしたかったけど、時間がないし、気合入れすぎは恥ずかしいから。

学校仕様なら、15分あれば充分。


はっ!
どうしよう。

鏡を見て気付いた、大失態。

頭にタオルを巻いたままだった。

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