2月からの手紙

パンケーキを小さくカットして口に運ぶ。

ふんわり柔らかくって、バニラの香りが口の中に広がる。


はあぁぁぁ。

これ、今日イチバンの幸せタイムかもしれない。


ああ、幸せすぎてなんだかうとうとしちゃう……。

まだ眠たくなるには早いけど、アウェイで疲れたからかな。


「あの、ごめんなさい、ちょっと早いけど私そろそろ帰りますね」

「未来、もう帰るの?」

「うん、ごめんね」

「じゃあ、俺、送ってくよ」

「いえ、大丈……、あれ……」


席を立った瞬間、フラリとしてしまった私をOBさんが支えてくれた。


「大丈夫じゃないじゃん、甘えて甘えて。送ってってあげるから」

「はあ、すみません……」


何だろう、体にうまく力が入らない。

歩いてる床が、ふにゃふにゃしてるみたいに頼りない踏み心地。

というより自分の足が頼りない感じ。


ぼーっとして、眠気を振り払えない。


「ほらほら、あーもうしょうがないなぁ」
「へ? あ? ちょっ……」

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