2月からの手紙

さっき自分でしたときにはゴテゴテでしわくちゃだった腰回りが、まっすぐ綺麗に整えられている。


小鳥遊くん、すごく上手だな。

男の人なのに、着付けできるってすごいな。


「浴衣、着付けるの上手いね」

「慣れてるからな」


手際よく帯をくるくると巻き付けながら小鳥遊くんが答えた。


「もしかして、妹さん?」

「いや……ああ、そう妹」

「そうなんだ」


今、いや、って言った?

咄嗟にごまかした感じだったけど、妹さんじゃないってこと?



なにか、隠してる感じ……?

知りたいけど、この先を聞くことができない。

じゃあ誰を着付けて慣れてるの? って、聞けない。



なんだか切ないよ。

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