2月からの手紙

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夕凪橋までもう少しというところまで歩くと、駅の方から来たであろう人たちでごった返していた。


「もうすぐ始まるから、混んできてるね」

「だな。あと30分か……」


誘導灯を持った警備員さんが、立ち止まらないで進んでくださいと大声で叫んでいる。

人だかりが動く気配はない。


納涼大華祭は河川敷を区切った有料の観覧エリアが毎年人気で、そこに入らない場合は道路沿いから花火を観覧することになる。


混んで通れなくなることは有料観覧チケットに書かれており、チケットを持っている人は早めに向かうよう促されている。


だからこの混雑はその道路沿いを目指している人がほとんどだと思う。


小鳥遊くんと待ち合わせした6時に着いていれば、きっとこんなには混んでいなかったはず。

私は申し訳ない気分で一杯だった。

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