2月からの手紙
「はあ、このぶんじゃ始まるまでに着けそうにないな……っておい、どうした?」
「……っ、んでも、ないよ。だいじょ……ぶ」
振り向いた小鳥遊くんに、泣いているところを見られてしまった。
「大丈夫ならなんでそんな泣いてんだよ、下駄、痛いのか?」
「違……」
「じゃあ足踏まれたか? 帯が苦しいのか?」
「ちが……ほんとに大丈……」
花火に向かう人たちが、私たちをチラチラ見ながら通り過ぎていく。
みんな、迷惑そうな顔に見える。
ただでさえ混んで進みが悪い道で立ち止まってたら、そんな顔をされるのも当然だ。
巻き添えをくった小鳥遊くんが、舌打ちする人に「すみません」と謝る。
こんな面倒くさい子、余計に嫌われちゃうよね……。
だめな方、だめな方へと、どんどん気持ちが落ち込んでいく。