2月からの手紙

OBさんが、駅と反対方向に向きを変えて、お店の裏通りに向かって歩き出す。

そこには表通りからは想像もつかない景色が広がっていた。


一見リゾート地みたいな、イルミネーションで飾られたおしゃれな植え込みのエントランスが立ち並ぶ……どうみても、エッチなホテル街……っ!


しかも、私を支えてくれている手がなんだか変な感じ。

脇を抱えてくれているはずの手が胸のほうに向かってるような。


あ……

もしかしてさっきの……


『未来ちゃん、アップルジュースだったよね? はいおかわりどうぞー』


あの時のジュースに何か入れられてたのかも……!

気付いても、眠くてフワフワする体は抵抗もできなくて。


どうしよう。

ああ、やっぱり来るんじゃなかった。

というか、地味子卒業とかいって、似合わないことするんじゃなかった。


私、初めてがこの人なんて嫌だよ……。


やめて、誰か助けて……そう叫びたいのに、もう、口もうまく動かせない……。
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