2月からの手紙
「ごめんね、私やっぱり帰る」
「え、なんだよそれ。どうしたんだよ」
いたたまれなくなってそう言った私に、小鳥遊くんが腰を落として目線の高さを合わせてきた。
狭い道で屈んでいるから、小鳥遊くんの腰に通る人たちが何度もぶつかる。
ああ、本当に私、だめだな。
小鳥遊くんにも、周りの人にも、迷惑かけまくり……。
けれど。
私の顔を覗き込むような小鳥遊くんの瞳は、予想と違っておろおろと困ったような色を浮かべていた。
あれ?
怒って、ない?
その茶色い瞳が、ゆっくりと瞬きした。