秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて

2)

 授業が始まって一週間ほどの間は、ガイダンスやオリエンテーションなどで忙しく、靭也(ゆきや)と大学で顔を合わせることはほとんどなかった。

 夏瑛(かえ)の専攻は造形美術コース。
 1、2年でさまざまな理論や実技を学び、3年になってから専門分野に進む。
 新しい校舎、新しい友人、新しい講義。
 毎日が目まぐるしく過ぎていく。
 クラスは男女合わせて二十人。
 なかにはかなり年上らしきクラスメイトもいる。

 夏瑛は出席番号が近い平野美岬(みさき)とすぐに意気投合した。

 岬は夏瑛と同じ東京出身の現役生でベリーショートが似合うボーイッシュな美形。
 空手の黒帯の持ち主でもあるユニークな子だった。
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