秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
午後5時半をまわったところだった。
窓から射しこんでいた強烈な西日は傾き、あたりはすっかり薄紫色に染まっていた。
靭也がいる別館は本校舎から道路をへだてた向かいの建物だ。
校庭を足早に横切っているとき、「あっ、原田さーん。今、帰り? あれ、平野さんは? いつもべったりなのに」
さっき、話題にあがっていた北川だ。
カールした薄茶色の髪が、ふわふわと風に吹かれて、逆光を受けてきらめいている。
目が大きい、というより黒目が大きくて印象的。
このふわふわの髪型とまんまるな黒い目はちょっとトイプードルっぽい。
美岬いわく、美大ではわりと珍しい存在のアイドル好き女子の間では、結構人気があるらしい。
「北川くん。美岬はもう帰ったんだ。わたしはこれから用事で別館に行くところなの」
それほど上背のない北川の顔がすごく近く感じる。
はじめて会ったときからそうだったけれど、
この人のパーソナル・スペースはかなり狭い。
窓から射しこんでいた強烈な西日は傾き、あたりはすっかり薄紫色に染まっていた。
靭也がいる別館は本校舎から道路をへだてた向かいの建物だ。
校庭を足早に横切っているとき、「あっ、原田さーん。今、帰り? あれ、平野さんは? いつもべったりなのに」
さっき、話題にあがっていた北川だ。
カールした薄茶色の髪が、ふわふわと風に吹かれて、逆光を受けてきらめいている。
目が大きい、というより黒目が大きくて印象的。
このふわふわの髪型とまんまるな黒い目はちょっとトイプードルっぽい。
美岬いわく、美大ではわりと珍しい存在のアイドル好き女子の間では、結構人気があるらしい。
「北川くん。美岬はもう帰ったんだ。わたしはこれから用事で別館に行くところなの」
それほど上背のない北川の顔がすごく近く感じる。
はじめて会ったときからそうだったけれど、
この人のパーソナル・スペースはかなり狭い。