秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 そんな人が自分の彼だという誇らしい気持ちはあったが、同時に自分との差をまざまざと思い知らされ落ち込む気持ちもあった。

 靭也のように、人のまねではない、自分だけしか描けない絵を見つけられるだろうか。
 どれだけの時間を費やせば見つけられるのだろう。
 もしかしたら一生かかっても無理かもしれない。
 そう思うと足元にぽっかりと穴が空いたようで心もとない気持ちになる。

 けれど、必死で探さなければ。
 せめて糸口だけでも掴みたい。
 でなければ……この先、靭也と一緒に歩んでいく資格がないんじゃないか……。
 付きあうようになってからいつも心の片隅に、そんな不安が燻っていた。

 靭也に告白されて、はじめはただ有頂天なだけだった。
 けれど、日が経つにつれて、自分が本当に靭也にふさわしいのだろうか、いつか見限られてしまうのではないかといった、漠然とした不安を感じるようになっていた。
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