秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 先に表情を和らげたのは叔父のほうだった。

「これが花嫁の父の心境ってやつか。いやいや、世の父親たちの気持ちが初めてわかったよ。それに、ぼくもそうそう厳しいことは言えないな。貴子と付き合いだしたのは彼女が19歳の時だったし」

 ふーっと一息つくと、叔父は立ちあがり、
「おーい。お茶まだかい? 喉がからからだよー」と台所にいる叔母の貴子に声をかけた。

 もうすっかりいつもの叔父に戻っている。

 靭也は隣に座っていた夏瑛を見て微笑み、その左手をぎゅっと握った。
 汗をかいている。
 本当に緊張していたみたいだ。
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