秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
5)
土曜日。叔父の誕生日パーティーの日がやってきた。
いつもの坂道をのぼると、家の窓から漏れた光が、庭の木立を幻想的に照らし出しているのが見えた。
かつての教え子たちが集まって叔父の誕生日を祝うのが、ここ数年、恒例行事となっていた。
夏瑛はもやもやした気持ちを抱えたまま、この日を迎えた。
美岬からはさんざんせっつかれていたが、どうしても靭也から真相を聞くことができずにいた。
本当に他の人と付きあっていると言われたらと思うと、どうしても勇気が出なかった。
裏切られたかもしれないという憤りよりも、靭也と別れることになったらどうしようという気持ちがまさっていた。
情けないことだが、靭也と離れることが夏瑛には何よりも恐ろしかった。
バイト先から直接ひとりで叔父の家に向かった。
気が重い。
靭也に会うのが憂鬱なのは、はじめての経験だ。
いつもの坂道をのぼると、家の窓から漏れた光が、庭の木立を幻想的に照らし出しているのが見えた。
かつての教え子たちが集まって叔父の誕生日を祝うのが、ここ数年、恒例行事となっていた。
夏瑛はもやもやした気持ちを抱えたまま、この日を迎えた。
美岬からはさんざんせっつかれていたが、どうしても靭也から真相を聞くことができずにいた。
本当に他の人と付きあっていると言われたらと思うと、どうしても勇気が出なかった。
裏切られたかもしれないという憤りよりも、靭也と別れることになったらどうしようという気持ちがまさっていた。
情けないことだが、靭也と離れることが夏瑛には何よりも恐ろしかった。
バイト先から直接ひとりで叔父の家に向かった。
気が重い。
靭也に会うのが憂鬱なのは、はじめての経験だ。