秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 そのとき、チャイムの音とともに「こんばんは」と言う耳になじんだ声が聞こえてきた。

 あっ、靭にいちゃん……来た。鼓動が早くなってくる。

「お久しぶりです」
 でも、その靭也の声に重なって、知らない女性の声も聞こえてきた。

 えっ、靭にいちゃん、女の人と一緒?

 先にキッチンを飛びだしたのは美岬だった。

 慌てて追いかけていくと、ちょうど靭也がリビングに入ってくるところだった。

 エスコートするように一緒に来た女性の腰の辺りに手を添えて、入るように促している。

 ストレートの黒髪……じゃあ、この人が……。
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