秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
「おいおい、何があったんだ?」
 騒ぎを聞きつけて叔父もやってきた。
 だが、おろおろするばかりで事態を収拾するどころではない。

「そこまで!」
 止めに入ったのは貴子さんだった。

 いざという時に頼りになるのは、やはり叔父さんではなく貴子さんのほうだ。

 貴子は靭也にタオルを手渡しながら言った。

「まず、靭也くんはシャワーを浴びていらっしゃい。先生の服を出しておいてあげるから。それから、なんでこんなことになったのか、美岬ちゃん、あちらの部屋で説明してちょうだい。
夏瑛ちゃんと、あら、理恵ちゃんだったのね。懐かしいわぁ。ふたりも一緒にこっちに来て」

 理恵という名に聞き覚えがあるなと心の片隅で思いながら、まだ興奮が冷めていない様子の美岬を隣室へ連れていった。
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