秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 今度は夏瑛が最後まで言い終わらないうちにさえぎられた。
 言葉ではなく行動で。
 靭也の胸に抱きしめられていた。

 彼が手にしていた紺色の傘がふわりと雪の上に落ちる。

「わかった……ちょっと確かめたかっただけだよ。それに今さら「嫌」って言われたら、本当は困るけど」

 靭也は夏瑛の頬を両手で包み、夏瑛……とささやきながら自分のほうに向かせた。

「このぐらいは、先生も許してくれるよな」
 そうして、唇が重なってきた。

 ついばむような優しいキスがだんだん深く、激しくなって、雪が溶けてしまいそうなほど熱いものに変わっていく。

 夏瑛はその熱で唇だけでなく、全身が蕩けてしまいそうな感覚に襲われた。

 このままふたりで溶け合って雪に埋もれて、この時が永遠に続けばいい。

 靭也の吐息を受け止めながら、熱に浮かされたようにそんなことを思っていた。
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