秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 晴れて恋人同士になったふたりだったが、兄と妹のような関係に急激な変化はなかった。

 違いと言えば、別れ際にキスをするようになったことぐらい。

 でも一度、こんなことがあった。

 大学の合格発表の翌日、夏瑛は靭也の部屋を訪ねていた。
 肩やひざが触れ合うほど寄り添ってソファーに座っていた。

 靭也の手が夏瑛の頬に触れ、自分の方を向かせると顔を寄せてきた。
 夏瑛は目を閉じ、靭也の唇を受け入れた。
 
 もう何度、唇を重ねただろう。
 でも、たとえ何度目だろうと、いつも初めてのときのように胸がときめく。
 
 それに、その日のキスはいつもと違った。
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