優しすぎてずるい。
「俺は」
諒介の手の中のショウセイが、さらに見えなくなる。彼が指先に力を込めて、ぐっと、ぎゅっと。
「雪那に、どんなふうに見えてる?」
ショウセイが、完全に見えなくなった。彼の上着のポケットの中へと、うつる。
「かっこいいと、思ってる」
「……っ、ショウセイが?」
上擦った声が聞こえて、首を振って、顔を上げて。
「諒介が」
諒介は、笑った。初めて見せてくれた、大人っぽくて、でもゆるゆるな、よく笑った表情。