優しすぎてずるい。
*
「雪那」
「ん〜」
「雪那ってば」
諒介(りょうすけ)が、急かす。
「待って、あと2分!」
「長すぎるだろ」って、ふは、と笑う彼が好き。目がなくなっちゃうような明るさと幼さ。小さくえくぼが浮かぶのも、知ってる。
「じゃあ、俺のちょっとだけわけてあげる」
「わっ、ほんと?」
「ひとくちね」
ファミレスで、向かい合って。ベルを鳴らした彼が、店員さんに注文をする。私の分までさらっと頼んでくれる優しさに、甘えてしまう。
お願いします、とか。ありがとうございます、とか。敬語を欠かさないところが好き。