優しすぎてずるい。
「あのさ」
並んで歩く帰り道。諒介のことが、好き。
「前に言ってた、ガチャのダブリ。さっき渡し損ねちゃって」
レアキャラとしてガチャガチャに出ていた、ショウセイが被って3体も出た。ショウセイが好きだからコレクションしようかと思ったけれど、せっかくだから諒介にあげようと決めたのだ。
「あっ、ありがとう」
彼が笑う。カバンの中からショウセイを取り出して、諒介に渡した。その時、指先を少しだけ、掠らせて。手を繋ぎたいって、思っちゃったの。
好きだよ。だけど、どんなに心の中で叫んでも、伝わらなくて。
苦しくて、不安で、切なくて、ついつい愛想笑い。