戦争に塗れたこの世界はボードゲームで勝敗をつけてしまうようで。
「四十首、色に出でりけり わが恋は」


なるべく小声で能力を発動した。

コレは人の心が読める。

と言っても相手の体に触れなければいけない。

まぁ今の状況なら相手から触れられてるからな。

出来るだけ奥深くまで探ろう。


そう思った束の間能因夜雪は私から離れた。

…此奴感が鋭いのか?

それとも私の声が聞こえた?

どっちにしろ厄介な相手だ。


この能力は離れても消えないのか。

面倒なことだ。


「お前、私の能力が分かるのか?」


私はゆっくりと立ち上がりながら聞く。

地味にまだ目眩がする。


「いーや全然?ただの勘さぁ。」


いやいやいや勘鋭すぎだろう。

私の能力が此奴の体に届く前に避けたぞ此奴。

『陰』はそれ程までに曲者揃いなのか。

面倒なことこの上ない。


「それで…?理事長を呼んでどうしろと?」


「ちょっとハ・ナ・シ・ア・イ♡」


「話し合いの雰囲気じゃないだろそれ」


「バレたかぁ〜」


いやバレるも何も馬鹿でも分かるだろう今のは。


バキッドゴッ…。


「え?」


今とてつもなく大きな破壊音が聞こえたような。

幻聴…ではなさそうだな。

能因夜雪も入り口の方を向いてる。


「…今の、聞こえたか?」


「もちろん…」


バキャッゴキッ…。


(…味方だといいが。)


ガゴッガラガラ…。


襖がガラガラと凄い音を立てて開いた。


…ッ!!


なんつー殺気…。


足が…震えて立てない。


最悪だ…。

味方じゃなさそうな予感が。


「やぁ…久しぶりだねぇ…」


そう言った夜雪の顔はすごく楽しそうだった。

しかし出てきたその人は凄く怒っていた。


「君は人の仲間に何しているのかな…?」


「り、理事長殿!!」
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