戦争に塗れたこの世界はボードゲームで勝敗をつけてしまうようで。
































所代わり、理事長室。

…何というか、ゴージャスって言うんだったかコレ。

取り敢えずそう言うことにしておこう。

どうなっているか?

どうでも良くないか…?

まぁ良いが。

ざっくり言ってしまうと高級品ばかり。

いや、凡人の私の鑑定だから
実際のところは知らないが。

私はふかふかのソファに腰掛ける。


「では、話を始めようか。先ず手始めに…。」


そう言いながら理事長は自身の机から
書類を引っ張り出す。

紙が数枚重なった薄い書類だった。


「…これは?」


「此れはこの『神代の郷』の能力者達だ。」


初めの一枚をペラリとめくる。

1番最初に出てきたのは白髪の少女だった。

眼鏡をかけていて髪はボサボサ。

見た目に気を使っているようには見えない。

右の方に能力名が書いてあった。


《天つ風》


能力の詳細も極細かく書いてある。

理事長は私にこんなものを見せて如何するつもりだ。

私が敵側にまわってしまったら終わりじゃないか。


「私に此れを見せて、貴方は何がしたいのです?」


「おや、分からないかい。それはねぇ…


































君が家族亡くして一人で2年半も生き延びたからだ。」




























その時の私はどんな顔をしていただろうか。

いや、もしかしたら
変わっていなかったかも知れない。

そんな事より私は驚いた。

何故理事長がその事を知っているのだろうか。

誰にも口外した事はない、筈だ。

確かにそうだ。

私は家族亡くして2年半たった一人で生きた。

いや、本当は生きなくても良かった。

だって私は罪を犯してしまったから。

つまり、自分が良ければ良い人間なのだ。

…最低としか言いようがない。


「何故知っている?、と言う顔をしてるね。
 何故か教えてあげようか?」


「…いや、いい。」


私は悩んだ挙句聞かない事にしておいた。

理由は分からない。

ただ何となく聞きたくなかった。

それに、私がそんな事を聞いたところで
何も変わりゃしないだろうから。


「そうか。」


「ただひとつ聞いていいでしょうか?」


「何かな?」


「貴方は先刻私の質問の答えに、
『それは君が家族亡くして2年半生き延びたから』、
と答えました。それはどう言う意味です?」


「ああ、それはね、君には生きる才能が
 あると思ったんだ。」


私は思わず聞き返す。


「生きる才能?」


「だって君は一人で2年半も生き延びたんだ。
 しかもかなり幼い子供のはずなのに!」


「…13ってそんな幼いんだぁ…。」


「2年前は11だろう…。」


「2年前なんて一言も言ってない。」


「…悪かったよ。兎に角、その書類貸すから
 ちゃんと全員覚えておくんだよ。」


「…分かりました。」


「それと、敬語外して良いよ。君、苦手でしょ。」


バレてたか。

まぁ、アレがバレているんだからそうだよな。


「分かった。それでこの後はどうすれば?」


「教室に向かってくれ。左に曲がって階段を降りて直ぐ近くにある。先程の白い彼女が居るはずだから。」


…1枚目のあの女か。

そんな事を考えながら私は理事長室を出た。
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