陰の王子様
「……実際のところはどうなんだ?シンア」
「何がですか。」
「恋人。」
ニヤッと笑うローガンさんに少しだけ、カチンときた。
「本人がいないと言っているんです。自分のことは自分が1番知っています。」
…そう。
自分のことは自分が1番知ってる。
無意識に握りしめた両手の拳にローガンさんが気付いていたことは全く知らない。
「シンアさん!!また会いましょう!」
彼女を家まで送り届け、上着を返してもらう。
なかなか強烈だが、あの時とは違う、本来の彼女の表情を取り戻せて素直に嬉しかった。
「気をつけてくださいね。キラさん」
彼女とお別れをし、ローガンさんとジンと共に王城へ帰る。