陰の王子様
ゆっくりと近づくクロード
ジンジンと痛む左肩を耐えながらベンチから立ち、後ずさる。
「…言ったはずだよ?君に傷はつけたくないって。……まあでも、威勢がいい方が手なづけるには楽しいかもね。」
そう言うと、自分に向かって横に縦に、めちゃくちゃに剣を振るクロード
剣も何も持たない自分は、そのめちゃくちゃな剣を避けることしかできない。
月明かりを受けて、より一層不気味に輝く剣を避け続ける。
これでも長い間騎士団にいたんだ。
団長たちには勝てなくても、クロードになら勝機があるかもしれない。