陰の王子様
そう声が聞こえてくるようだ。
ボタボタと血が垂れ流れる右手にもう一度力を込めて、一気に引き抜く。
そして、自分の血がついたクロードの剣を未だ状況が掴めていないクロードに投げ返す。
クロードの注意が剣にいった隙に、後ろの馬に飛び乗る。
「っおい!!逃げる気か!?」
立ち上がりこちらに手を伸ばすクロード
「行って!!」
体勢が整わないまま馬が走り出し、自分は振り落とされないよう必死でしがみつく。
「おい!誰かあいつを追え!!」
「クロード様っ、こんなところで何を!?」
後ろを振り向けば、騒ぎに気づいたのか人が集まってきていた。
「はあ…、……これでもう思い残すことは、ない。…よな。…っ、みんなに、会える?」