陰の王子様
「寄りたいとこがあるんだ。」
「そうか…。俺がついて行ったら邪魔だよな。」
ボソボソと話し、ちらっとこちらを見るタセン
「うん、ごめん。…女の子に会いに行くから。」
そう言うと、俯いていた顔を上げて
「友達が王都にいるのか!良いな!じゃあ俺、レティシアが好きそうな食べ物たくさん買ってくるな!」
「え、いいよ買わなくて。」
そう言ってもタセンは全然聞いていない。
全く…。
ふうっと息を吐き、外を眺める。
貧富の差はあるものの、平和な国
この国を守るには、国王を守りきらなければ…。
国王を守ってくれと言っても、そんなこと言われなくてもやってる!と反感を買うだろう。
でも、自分を狙う人物が息子だとしたら…外部の人間が暗殺するより、ぐっと確率は上がるはず。