陰の王子様
そんな会話を聞きながら、せっせと荷車から野菜を下ろす。
「おや、今日の子は頑張るねー。キラキラした目で王都を眺めてる子がほとんどなのに。」
こちらに言っている気がして振り向くと、おじいさんが私を見ていた。
「こりゃ可愛い子だ。いかんいかん、顔を隠しておきなさい。」
そう言って店の奥に行ったかと思うと、手に何か持って戻ってきた。
「ほれ、うちのばあさんのやつじゃが、つけなさい。この街は栄えてるからの、裏で妙な奴らが動いてることがあるんじゃ。」
そう言うと頭に何か被せた。
「……帽子?」
少し視界が狭くなった。
手探りで帽子だと判断していると、
「そうですね。ありがとうございます。何かあっては大変だからね。」