陰の王子様
5
上手く伝わっただろうか…。
お昼過ぎに王都から帰って来た。
一方的に託したものに返事など返ってくるはずもなく、そわそわと落ち着かないまま、長い道のりを戻って来た。
はあ…っとため息が漏れ、ベッドに倒れ込む。
何も考えたくない。
……でも、国王を亡くしてはいけない。
ぐるぐると回る頭に、精神的な疲れがかかってくる。
無意識に胸元のネックレスを握りしめる。
その時、外がガヤガヤと賑やかなのに気づいた。
窓から覗き見ると、畑の方に人だかりがあった。
「レティシア〜!!!外に来いよ!なんか貴族みたいな人たちが来てるぞ!」
貴族みたいな人たち…?
こんな辺境地に?
疑問に思いながらも、最近野菜が有名になり出したからかなと考えながら、玄関で私を呼びつづけるタセンの元に急いだ。