陰の王子様
5






上手く伝わっただろうか…。


お昼過ぎに王都から帰って来た。
一方的に託したものに返事など返ってくるはずもなく、そわそわと落ち着かないまま、長い道のりを戻って来た。



はあ…っとため息が漏れ、ベッドに倒れ込む。

何も考えたくない。
……でも、国王を亡くしてはいけない。



ぐるぐると回る頭に、精神的な疲れがかかってくる。





無意識に胸元のネックレスを握りしめる。





その時、外がガヤガヤと賑やかなのに気づいた。


窓から覗き見ると、畑の方に人だかりがあった。




「レティシア〜!!!外に来いよ!なんか貴族みたいな人たちが来てるぞ!」



貴族みたいな人たち…?
こんな辺境地に?




疑問に思いながらも、最近野菜が有名になり出したからかなと考えながら、玄関で私を呼びつづけるタセンの元に急いだ。




< 158 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop