陰の王子様
ふぅっとひと息つく。
本当、ここはとても広いところだ。
立派な王城に優秀な使用人たち
同じ使用人でも、顔も見たことない人なんか大勢いるだろう。
ふと、思う。
自分は役目を果たせているのか…。
自分の存在は誰かに認められているのだろうか…。
ここにいると分からなくなってくる。
空を見上げ、懐かしいあの頃を思い出す。
外で走り回り、転んで砂まみれになり、近くの大人たちに元気だなと褒められ、帰ったらどうしたらこんなに汚れるのかと怒られる。
ただ毎日が楽しかっただけの日々