陰の王子様
輪の外でその様子を眺めていると、
「貴方もどうぞ。お口に合うか分かりませんが。」
あの雰囲気の違う女性がわざわざ持ってきてくれた。
「あっ、すみません!ありがとうございます!」
「うふふ、いいのよ。食べてみてくださる?」
「美味しいっ!!」
「これっ、ここのお野菜なんですか!?」
「作り方教えてください!」
そんな声が聞こえてきて、食べてみてと言う言葉に少しワクワクしながらクッキーを取り出す。
「いただきます。」
「レティシアちゃーん!!ご飯よ〜!」
……
「あら?寝ているのかしら…?」
「そうじゃないか?今日は初めて王都まで行ったからな。疲れただろう。」
「そうでしたね!でも、お布団被っているか心配ですから覗いてきます。」
「レティシアちゃーん…、寝てる?」
ガチャッ…と静かにドアを開ける。
「うん、やっぱり眠っているわね。…お布団被ってないわ。」
部屋の中に入り、ベッドで寝ているレティシアの側へ向かう。
「……ぁ"あっ。…」
「えっ」
寝息ではない声が聞こえた気がして、慌てて顔を覗く。
「っ!レティシアちゃん!?レティシアちゃん!!あなた!早く来て!!」