陰の王子様
この村唯一の小さな病院には、外まで村人が溢れていた。
「ジョセフさん!大変なんだ!!」
「ああ、話は聞いたよ。皆ここにいるのかい?」
「軽めの子もいたみたいで、その子たちは家で注意してみてるようナバじぃに言われてたよ。」
親に付き添われ、待合室に座る子供たちは確かに症状が違かった。
「後で、知り合いの医者が来てくれるからもう少し頑張ってくれ!」
ジョセフのその言葉に少し安堵の空気が流れた。
「次は…お主じゃ。」
少し近くから声が聞こえ、その人がいるところへ向かう。
「おじいさん、何か原因分かりましたか。」
「ジョセフか。…昼ごろお主ら大人は全員村の話し合いじゃったな?」
「……はい、その間に何か。」
「貴族っぽい人たちが来てたんだ。5、6人。」
掠れた声が後ろからかけられ、振り向くとタセンが喉を押さえながら側に座った。