陰の王子様



クッキーにはおそらく5種類ほどの植物が使われており、どれを食べたかによって症状が違った。



だが、レティシアだけは違ったのだ。

他の子供たちを診察したボニーは思った。
彼女だけ症状が桁違いに重いと。



試しに子供たちに飲ませた、各植物の解毒薬を飲ませてみても、症状が良くならなかった。





「……じゃが、わしは古い人間。古い人間が知っとることもある。」


項垂れるジョセフを横目にナバは奥の部屋へと入っていった。







「ジョセフさん、俺も手伝います。」


そこにやって来たのはタセン
すっかり元気になっていた。



「…ありがたい。今はほとんど情報が無いからな。子供たちに聞いても貴族っぽい人たちしか分からないし。」



どこから来た人かなど、子供たちが貴族かなと感じてる人たちに訊ねているはずがない。





「…あの子は、……絶対に、救う。」



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