陰の王子様
先程受け取った速達の手紙には、信じたくない内容が書かれていた。
「原因不明……。」
手紙の内容を知らない側近のジェハは、手紙を読んで主の纏う空気が変わったのを感じる。
「…ジェハ、ジンに偵察を頼んでくれるか。」
「場所は何処でしょうか。」
「カナヤだ。何者かが子供たちに毒物を与えたらしい。必要であれば、ジョセフ殿の手助けもよろしく頼むと。」
「かしこまりました。」
ジェハは聞かなかったが、主の雰囲気から感じとる。
おそらく彼女も巻き込まれていることを。
「ほとんどの子供は回復している。…が、あいつは未だに目を覚さない、か…。」
ヴィルが持ってきたジンの報告書
クシャッ…と報告書を握る手に力が入る。