陰の王子様






「クロード・ウィザリア、あなたは10年前ロベール王国にある里を襲撃しましたね。」



誰も言葉を発しない。
ざわついたのは一瞬で、ことの成り行きを見逃すまいと呼吸を忘れたかのように王子を見ている。



急遽大臣たちが集められ、王族も参加している。

何が始まるのかと噂していれば、第二王子から発せられたのは想像していたものの斜め上の言葉だった。




「はっ、何言ってんだ?そんな戯言のために俺の貴重な時間を奪ったのか。」


足を組み、苛立ちを真っ直ぐにイオへと向けるクロード


「あなたは自分の私兵を使って里を滅ぼした。…自分勝手な理由で。」



静かな怒りが溢れ出ているイオ
淡々と進めようとしているのが見える。



「ずいぶんおかしなことを言う。」


「妄想が激しいのね。」



扇子で口元を隠しているが、きっとイオを嘲笑っているエレン


そんな2人には目もくれず、ルシア王とアイリス王妃はじっと息子を見ている。



長年の目標を叶えようとしている息子を。



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