陰の王子様





「一瞬の出来事でしたが、その馬についていた特徴的な紋章は目に焼きつきました。……ここ、ウィザリア王国の紋章が刻まれていたのです。」



「里の異常な状況、私の目の前を駆け抜けて行った隣国の馬。…馬が行った先には我が主トレス家しかありません。」


ゆっくりと目を閉じるスズミ
手が震えている。




「屋敷は悲惨な状況でした。10名いた使用人はあちらこちらで息を絶え、旦那様の部屋にはご夫妻が…。………その傍らには剣を持った男」


「旦那様はその男に言ったのです。『ウィザリアの王子…、お前などには絶対娘は渡さぬ。』と。」




「はっ!それが俺だと?そんなもの証拠になるか。」



「……ウィザリアに来て10年、とても第二王子がやるとは思えません。」


「女ぁ、お前牢に入れられたいか?」



そいつを捕らえよ。とクロードが部屋にいる数名の騎士に命令する。


と、スズミの横に突然現れたのは…、


「ルシア王、私が話してもよろしいでしょうか。」



< 184 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop