陰の王子様



涼やかな笑みを携え、強い瞳でクロードを見ているスズミを背に隠したのはサンチェ




「よい。話せサンチェ」


「第一王子について、追加のご報告です。」


「………サンチェ、貴様。」



怒りを見せるクロードに、これから楽しみだと言わんばかりの笑顔を見せるサンチェ




「1年前、行方不明になられ結果、事故死と判断されたコヴィー侯爵家ですが。第一王子が命じたとの証言が取れました。」



「というか、僕が王子に命じられ、事故死に見せかけました。」




「で、では!コヴィー侯爵は生きているのか!?」


1人の大臣が立ち上がり前のめりに問う。


「はい。ご夫妻揃って、別のところで元気にしておられます。」

その言葉に大臣たちは歓喜の声を上げる。



コヴィー侯爵は人望のある方だったために、事故死とされた時は、誰もが惜しんだのだ。




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