陰の王子様




「貴様のような下級貴族が王妃などと。ルシア、お前もだ。ようやく妃をこの私に決めたと思えば、側室だと?」


眉間に皺を寄せ、不快感を隠そうともしない。



「納得いかぬまま、子を成せば王妃になれると、この立場を飲み込み、第一王子を産んだにも関わらず!!…下級貴族を王妃に決めた。それもクロードが生まれてすぐだったな?」



「すまぬ。側室は作るつもりはなかった。…だが、正室じゃなくて側室だけでもと強引に進められたのだ。それを進めていたのはお主の父親だったな。」




ルシアの言葉に何も言えなくなるエレン

「私が知った時にはもうお主が後宮に入る日であった。」


「アイリスを正室に決めてから私は、お主を好きにさせてやろうと決めたよ。だから、お主が後宮をクロードの正室候補で溢れさせようが、黙っておった。」




「だが、禁忌の毒物に手を出したことは王族として黙っておけん。」


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