陰の王子様





じっとクロードを見たまま、エレンに見向きもせず話すルシア王


ルシアを見下ろすエレンは鋭い目つきを変え、爪の長い手をゆっくりとルシアの肩に置き、笑みを携えて言った。





「それ、1つじゃないのは知っているかしら?」




「父上っ!!」


プシュッと何かを王の顔にかけたエレン


一歩届かなかったイオは、エレンを王から引き離す。


「ルシア様っ!」

「あなた!!あなた!」



「サンチェ!!直ちに終わらせこの者たちを拘束しろ!」



主の声が聞こえると、楽しそうに遊んでいたサンチェは一瞬でクロードの剣を弾き飛ばし、拘束した。




「イオ様、医師を呼んで参ります!」


サンチェの側にいたスズミが走って部屋を出て行く。

何も伝えていないが、遠目からでも異常事態だと判断したのだろう。



「くそっ。厄介なことばかり…。」



倒れ込んだエレンを見て、捕まえてた腕を離す。

おそらくエレン自身にも王にかけたものがかかったのだろう。



ぐったりと椅子にもたれかかる王

最悪なことにならないことを願うしかない。





< 189 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop