陰の王子様
「イオ様!」
王を自室へと運び、王専属の医師が見ていると、大きな音を立ててローガンが入ってきた。
「うるさいぞ。ローガン」
「あっ、すみません。…王の、容態は…。」
王の傍らには王妃が静かに涙を流しながら、不安な顔でいる。
「……とりあえずは、少し落ち着きました。」
処置をしていた医師が王妃とイオを見て言った。
「ですが、原因がはっきりとは。……イオ様、原因解明のため、それをお貸しできますか。」
それとは、俺の手にある小さな容器
おそらく王妃が王にかけたもので、意識を失った王妃の側に転がっていた。
「もちろんだ。頼む。」
医師が出て行き、3人となる。
「…父上は、きっと大丈夫です。」
王の手を握りしめる王妃にイオは声をかける。
「ごめんなさい、イオ。彼が倒れた今、私がしっかりしないといけないのに…。」
「俺なら大丈夫です。母上は側にいてあげてください。」